@IDX:11600
@OFF:0x53
@SPK:
@JPN:『
@ENG:

@IDX:11601
@OFF:0x69
@SPK:
@JPN:酒
@ENG:

@IDX:11602
@OFF:0x7f
@SPK:
@JPN:と
@ENG:

@IDX:11603
@OFF:0x95
@SPK:
@JPN:煙
@ENG:

@IDX:11604
@OFF:0xab
@SPK:
@JPN:草
@ENG:

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@OFF:0xc1
@SPK:
@JPN:と
@ENG:

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@OFF:0xd7
@SPK:
@JPN:死
@ENG:

@IDX:11607
@OFF:0xed
@SPK:
@JPN:体
@ENG:

@IDX:11608
@OFF:0x103
@SPK:
@JPN:洗
@ENG:

@IDX:11609
@OFF:0x119
@SPK:
@JPN:い
@ENG:

@IDX:11610
@OFF:0x12f
@SPK:
@JPN:』
@ENG:

@IDX:11611
@OFF:0x1d3
@SPK:
@JPN:　冷たいコンクリートの壁に囲まれた更衣室。
@ENG:

@IDX:11612
@OFF:0x20b
@SPK:
@JPN:　まるで独房にも似た空気を持つこの部屋で、何度俺　はこの服に袖を通したのだろう。
@ENG:

@IDX:11613
@OFF:0x269
@SPK:
@JPN:　全てのものを拒絶するかのような白さを持つゴムの　ツナギ。
@ENG:

@IDX:11614
@OFF:0x2b1
@SPK:
@JPN:　鼻を衝く薬品臭から俺の鼻を守るマスク。
@ENG:

@IDX:11615
@OFF:0x2e7
@SPK:
@JPN:　外界との接触を拒むかのようなゴムの手袋。
@ENG:

@IDX:11616
@OFF:0x31f
@SPK:
@JPN:　これらによって守られて、俺は作業をする。
@ENG:

@IDX:11617
@OFF:0x369
@SPK:
@JPN:　『死体洗い』
@ENG:

@IDX:11618
@OFF:0x385
@SPK:
@JPN:　それが俺の仕事だ。
@ENG:

@IDX:11619
@OFF:0x3c7
@SPK:
@JPN:　軽いノックの音が、冷えた空気を通して俺の鼓膜を　震わせる。
@ENG:

@IDX:11622
@OFF:0x44d
@SPK:[\protag]
@JPN:　どうぞ。
@ENG:

@IDX:11624
@OFF:0x49c
@SPK:［女の声］
@JPN:　失礼します。
@ENG:

@IDX:11625
@OFF:0x54e
@SPK:
@JPN:　扉を開けて入ってきたのは、俺の担当……御堂悠紀　という名の女性だ。
@ENG:

@IDX:11626
@OFF:0x5a0
@SPK:
@JPN:　いつものように冷静な事務口調で、俺に死体の様子　を伝える。
@ENG:

@IDX:11627
@OFF:0x5ea
@SPK:
@JPN:　女性が１体。傷はない。
@ENG:

@IDX:11628
@OFF:0x610
@SPK:
@JPN:　ただそれだけを伝えて、彼女は俺の前から姿を消し　た。
@ENG:

@IDX:11629
@OFF:0x68e
@SPK:
@JPN:　俺の前では彼女は一片の感情も見せない。
@ENG:

@IDX:11630
@OFF:0x6c4
@SPK:
@JPN:　それが俺に対する警戒心からなのか、それとも彼女　本来の性格なのか。それはまだ掴めていない。
@ENG:

@IDX:11631
@OFF:0x73c
@SPK:
@JPN:　もし彼女と俺の間に、何か運命（さだめ）のような　ものがあるならば、いつかは分かる時がくるかもし　れない。
@ENG:

@IDX:11632
@OFF:0x7b4
@SPK:
@JPN:　だがそれは今ではない。
@ENG:

@IDX:11633
@OFF:0x7da
@SPK:
@JPN:　今の俺にとっての運命の相手はあの部屋にいる。
@ENG:

@IDX:11634
@OFF:0x816
@SPK:
@JPN:　あの、冷たく薄暗い部屋に……。
@ENG:

@IDX:11635
@OFF:0x854
@SPK:
@JPN:　冷たい金属のノブを握りしめる。
@ENG:

@IDX:11636
@OFF:0x882
@SPK:
@JPN:　厚いゴムを通して固い感触が返ってくる。
@ENG:

@IDX:11637
@OFF:0x8b8
@SPK:
@JPN:　そのもどかしい塊を回して、扉を開く。
@ENG:

@IDX:11638
@OFF:0x8ec
@SPK:
@JPN:　ふっと流れ出す空気。
@ENG:

@IDX:11639
@OFF:0x910
@SPK:
@JPN:　その風に押されるように部屋の外へ出る。
@ENG:

@IDX:11640
@OFF:0xa05
@SPK:
@JPN:　すえたような死のにおいが漂ってくる。
@ENG:

@IDX:11641
@OFF:0xa39
@SPK:
@JPN:　俺の前には２つの扉がある。
@ENG:

@IDX:11642
@OFF:0xa63
@SPK:
@JPN:　死せる者が横たわる霊安室。
@ENG:

@IDX:11643
@OFF:0xa8d
@SPK:
@JPN:　そして、俺の運命の相手が待っている作業場。
@ENG:

@IDX:11644
@OFF:0xad3
@SPK:
@JPN:　厚いゴム長靴の虚ろな足音を響かせて、俺は扉へと　近づいていく。
@ENG:

@IDX:11645
@OFF:0xb21
@SPK:
@JPN:　この中で俺の運命の相手が待っている。
@ENG:

@IDX:11646
@OFF:0xb55
@SPK:
@JPN:　たった一度だけの出会い。
@ENG:

@IDX:11647
@OFF:0xb7d
@SPK:
@JPN:　たった一度だけの抱擁。
@ENG:

@IDX:11648
@OFF:0xba3
@SPK:
@JPN:　たった一度だけの別れ。
@ENG:

@IDX:11649
@OFF:0xbc9
@SPK:
@JPN:　それらを俺と共有するため、冷たい液体の中にひっ　そりと横たわっている。
@ENG:

@IDX:11650
@OFF:0xc1f
@SPK:
@JPN:　俺だけの……俺のための貴婦人。
@ENG:

@IDX:11651
@OFF:0xd0a
@SPK:
@JPN:　重い音を響かせて、鉄の扉が開いていく。
@ENG:

@IDX:11652
@OFF:0xd40
@SPK:
@JPN:　ホルマリンのにおいと冷えた空気が、自由を求めて　俺の横をすり抜けていく。
@ENG:

@IDX:11653
@OFF:0xd98
@SPK:
@JPN:　馴染み深いにおいが俺の肺に満たされる。
@ENG:

@IDX:11654
@OFF:0xdce
@SPK:
@JPN:　ここが俺の仕事場。
@ENG:

@IDX:11655
@OFF:0xdf0
@SPK:
@JPN:　ここが俺の戦場。
@ENG:

@IDX:11656
@OFF:0xe22
@SPK:
@JPN:　名も知れぬ幾多の死者が横たわり、洗われ、そして　去っていったこの場所で、今日も一人の死者が俺の　手を待っている。
@ENG:

@IDX:11657
@OFF:0xeb0
@SPK:
@JPN:　硬いゴムのホースを手に取る。
@ENG:

@IDX:11658
@OFF:0xedc
@SPK:
@JPN:　狙いを定め、蛇口をひねる。
@ENG:

@IDX:11659
@OFF:0xf06
@SPK:
@JPN:　ホースから迸る水が、床に僅かに残るホルマリンを　押し流していく。
@ENG:

@IDX:11660
@OFF:0xf56
@SPK:
@JPN:　死者を迎えるための儀式。
@ENG:

@IDX:11661
@OFF:0xf7e
@SPK:
@JPN:　彼女が横たわる褥の準備。
@ENG:

@IDX:11662
@OFF:0xfb8
@SPK:
@JPN:　愛用の棒を構えて、彼女の眠る水底を見つめる。
@ENG:

@IDX:11663
@OFF:0xff4
@SPK:
@JPN:　ユラユラと揺れる水面にうっすらと揺れる彼女の影　は、俺の呼び声を待っているようにも見えた。
@ENG:

@IDX:11664
@OFF:0x106e
@SPK:
@JPN:　そっと棒を差し込むと、ホルマリンの表面に丸い輪　が生まれた。
@ENG:

@IDX:11665
@OFF:0x10ba
@SPK:
@JPN:　ゆっくり広がっていくそれは、水底の彼女が俺へと　送る合図にも思えた。
@ENG:

@IDX:11666
@OFF:0x111e
@SPK:
@JPN:　棒の先で彼女を探す。
@ENG:

@IDX:11667
@OFF:0x1142
@SPK:
@JPN:　そのたびに液面は、幾重もの波紋を生み出す。
@ENG:

@IDX:11668
@OFF:0x117c
@SPK:
@JPN:　何かの感触が棒から俺の手へと伝わってくる。
@ENG:

@IDX:11669
@OFF:0x11b6
@SPK:
@JPN:　その場所へゆっくりと棒を戻す。
@ENG:

@IDX:11670
@OFF:0x11e4
@SPK:
@JPN:　再び感じる柔らかい感触。
@ENG:

@IDX:11671
@OFF:0x121c
@SPK:
@JPN:　棒が伝えるその感触は、彼女から俺への伝言。
@ENG:

@IDX:11672
@OFF:0x1256
@SPK:
@JPN:　優しく呼び覚ますように、水底で眠る彼女の身体を　突く。
@ENG:

@IDX:11673
@OFF:0x129c
@SPK:
@JPN:　ゆっくりと瞼を開くように、ユルユルと白い身体が　浮かび上がってくる。
@ENG:

@IDX:11674
@OFF:0x136e
@SPK:
@JPN:　水の上に浮かび上がった白い肢体。
@ENG:

@IDX:11675
@OFF:0x139e
@SPK:
@JPN:　眠るように閉じられた瞳。
@ENG:

@IDX:11676
@OFF:0x13c6
@SPK:
@JPN:　流れるような黒髪。
@ENG:

@IDX:11677
@OFF:0x13e8
@SPK:
@JPN:　美しい曲線を描く双丘。
@ENG:

@IDX:11678
@OFF:0x140e
@SPK:
@JPN:　柔らかな肉感を伝えてくる身体のライン。
@ENG:

@IDX:11679
@OFF:0x1456
@SPK:
@JPN:　彼女の身体は死してもなお、女性であるということ　を強烈にアピールし続けていた。
@ENG:

@IDX:11680
@OFF:0x14c8
@SPK:
@JPN:　柔らかなその脇に、俺の棒を差し込む。
@ENG:

@IDX:11681
@OFF:0x159e
@SPK:
@JPN:　ゆっくり、ゆっくりと力を込めていく。
@ENG:

@IDX:11682
@OFF:0x15d2
@SPK:
@JPN:　彼女の身体は水の中を滑るように動き出し、やがて　俺の立つ岸辺へと辿り着いた。
@ENG:

@IDX:11683
@OFF:0x169c
@SPK:
@JPN:　棒を棚に戻す。
@ENG:

@IDX:11684
@OFF:0x16ba
@SPK:
@JPN:　奴の役目はこれで終わりだ。
@ENG:

@IDX:11685
@OFF:0x16e4
@SPK:
@JPN:　次の出番まで眠りにつくがいい。
@ENG:

@IDX:11686
@OFF:0x1722
@SPK:
@JPN:　再び彼女の下へ戻り、ゆっくりと腰を下ろす。
@ENG:

@IDX:11687
@OFF:0x175c
@SPK:
@JPN:　彼女の身体を起こし、背中から抱きしめるように腕　を回す。
@ENG:

@IDX:11688
@OFF:0x17a4
@SPK:
@JPN:　一度だけの抱擁。
@ENG:

@IDX:11689
@OFF:0x17c4
@SPK:
@JPN:　俺と彼女の一度だけの抱擁。
@ENG:

@IDX:11690
@OFF:0x17fc
@SPK:
@JPN:　俺がこの仕事をしていなければ彼女と出会うことは　なかった。
@ENG:

@IDX:11691
@OFF:0x1846
@SPK:
@JPN:　彼女が献体に同意していなければ俺と出会うことは　なかった。
@ENG:

@IDX:11692
@OFF:0x1890
@SPK:
@JPN:　運命によって結びつけられた出会い。
@ENG:

@IDX:11693
@OFF:0x18c2
@SPK:
@JPN:　一度だけの出会い。
@ENG:

@IDX:11694
@OFF:0x18f4
@SPK:
@JPN:　ゆっくり力を込め、彼女をホルマリンの海から引き　上げる。
@ENG:

@IDX:11695
@OFF:0x193c
@SPK:
@JPN:　死を迎えた身体は、見た目よりも重い。
@ENG:

@IDX:11696
@OFF:0x1970
@SPK:
@JPN:　それは彼女とて例外ではない。
@ENG:

@IDX:11697
@OFF:0x19ae
@SPK:
@JPN:　抱きしめたまま後ずさる。
@ENG:

@IDX:11698
@OFF:0x19d6
@SPK:
@JPN:　ゆっくりと部屋の中央へ運び、固い褥に慎重にその　身を横たえる。
@ENG:

@IDX:11699
@OFF:0x1aa4
@SPK:
@JPN:　力なく横たわるその姿は、死の世界に属していると　いうこと以外は、俺の前で全裸で眠る女たちと何ら　変わるところはなかった。
@ENG:

@IDX:11700
@OFF:0x1b40
@SPK:
@JPN:　デッキブラシを手に取る。
@ENG:

@IDX:11701
@OFF:0x1c04
@SPK:
@JPN:　横たわる彼女にそれを押し当てる。
@ENG:

@IDX:11702
@OFF:0x1c34
@SPK:
@JPN:　ゆっくりと前後させ、彼女の身体からホルマリンを　拭い去る。
@ENG:

@IDX:11703
@OFF:0x1c7e
@SPK:
@JPN:　柔らかな感触が、デッキブラシを通して俺の手まで　伝わってくる。
@ENG:

@IDX:11704
@OFF:0x1ccc
@SPK:
@JPN:　これが俺の愛撫。
@ENG:

@IDX:11705
@OFF:0x1cec
@SPK:
@JPN:　死せる者への愛撫。
@ENG:

@IDX:11706
@OFF:0x1d0e
@SPK:
@JPN:　優しく、慈しむように何度も何度も擦り続ける。
@ENG:

@IDX:11707
@OFF:0x1dc2
@SPK:
@JPN:　彼女への愛撫を中断する。
@ENG:

@IDX:11708
@OFF:0x1dea
@SPK:
@JPN:　デッキブラシからタワシに持ち替える。
@ENG:

@IDX:11709
@OFF:0x1e1e
@SPK:
@JPN:　ゴムの手袋越しに、硬いとがった感触を感じる。
@ENG:

@IDX:11710
@OFF:0x1e5a
@SPK:
@JPN:　これで彼女を擦る。
@ENG:

@IDX:11711
@OFF:0x1e7c
@SPK:
@JPN:　微小な罪悪感が俺の心を走り抜ける。
@ENG:

@IDX:11712
@OFF:0x1ebe
@SPK:
@JPN:　だがこれは必要な作業。
@ENG:

@IDX:11713
@OFF:0x1ee4
@SPK:
@JPN:　俺と彼女にとって必要な作業。
@ENG:

@IDX:11714
@OFF:0x1f10
@SPK:
@JPN:　僅かな胸の痛みをこらえ、瞳を閉ざした彼女の顔に　タワシを当てる。
@ENG:

@IDX:11715
@OFF:0x1fdc
@SPK:
@JPN:　端正な彼女の顔が歪む。
@ENG:

@IDX:11716
@OFF:0x2002
@SPK:
@JPN:　ゆっくりとタワシで擦る。
@ENG:

@IDX:11717
@OFF:0x202a
@SPK:
@JPN:　タワシの動きに合わせて、彼女の顔が引き攣れる。　
@ENG:

@IDX:11718
@OFF:0x207a
@SPK:
@JPN:　彼女の顔の歪みが、俺の心をも歪ませる。
@ENG:

@IDX:11719
@OFF:0x20b0
@SPK:
@JPN:　感情を殺し、冷徹に作業を進める。
@ENG:

@IDX:11720
@OFF:0x20e0
@SPK:
@JPN:　上から下へ、右へ左へ。
@ENG:

@IDX:11721
@OFF:0x2106
@SPK:
@JPN:　筋肉の筋に合わせて、優しくマッサージするように　彼女の顔を洗っていく。
@ENG:

@IDX:11722
@OFF:0x21d6
@SPK:
@JPN:　ホルマリンで張りついた前髪をそっと剥がす。
@ENG:

@IDX:11723
@OFF:0x2210
@SPK:
@JPN:　端麗な顔に柔らかな笑みが浮かぶ幻が重なる。
@ENG:

@IDX:11724
@OFF:0x22c0
@SPK:
@JPN:　一度彼女の身体から離れる。
@ENG:

@IDX:11725
@OFF:0x22ea
@SPK:
@JPN:　硬くなった俺の身体を伸ばしていく。
@ENG:

@IDX:11726
@OFF:0x231c
@SPK:
@JPN:　腰、肩、背中……。
@ENG:

@IDX:11727
@OFF:0x233e
@SPK:
@JPN:　屈んだままの作業で蓄積した疲労が解放される。
@ENG:

@IDX:11728
@OFF:0x237a
@SPK:
@JPN:　関節が歓喜の声を上げる。
@ENG:

@IDX:11729
@OFF:0x23a2
@SPK:
@JPN:　再び作業を始めるまでの小休止。
@ENG:

@IDX:11730
@OFF:0x23d0
@SPK:
@JPN:　安息をじっくりと味わい、再び腰を下ろす。
@ENG:

@IDX:11731
@OFF:0x2482
@SPK:
@JPN:　優しく彼女の手を取り、タワシで傷つけないように　擦る。
@ENG:

@IDX:11732
@OFF:0x24c8
@SPK:
@JPN:　ほっそりとした女性の指。
@ENG:

@IDX:11733
@OFF:0x24f0
@SPK:
@JPN:　ゴムで覆われた俺の指。
@ENG:

@IDX:11734
@OFF:0x2528
@SPK:
@JPN:　これが俺たちの距離。
@ENG:

@IDX:11735
@OFF:0x254c
@SPK:
@JPN:　直接触ることはできない。
@ENG:

@IDX:11736
@OFF:0x2574
@SPK:
@JPN:　その間には、死という名の深く大きな淵が横たわっ　ている。
@ENG:

@IDX:11737
@OFF:0x2638
@SPK:
@JPN:　ゆっくりと彼女の足を開いていく。
@ENG:

@IDX:11738
@OFF:0x26de
@SPK:
@JPN:　その間に身を沈め、細やかな女性の部分にタワシを　奔らせていく。
@ENG:

@IDX:11739
@OFF:0x272c
@SPK:
@JPN:　複雑な襞に包まれた神秘の谷間を、凶暴なタワシが　陵辱する。
@ENG:

@IDX:11740
@OFF:0x2776
@SPK:
@JPN:　だが決して傷つけてはならない。
@ENG:

@IDX:11741
@OFF:0x27a4
@SPK:
@JPN:　それが俺に与えられた使命。
@ENG:

@IDX:11742
@OFF:0x2848
@SPK:
@JPN:　これで、作業の半分は終わった。
@ENG:

@IDX:11743
@OFF:0x2876
@SPK:
@JPN:　緑のホースから流れ出る水で、浮き上がった汚れを　押し流す。
@ENG:

@IDX:11744
@OFF:0x28c0
@SPK:
@JPN:　デッキブラシの先も水に晒し、次に備える。
@ENG:

@IDX:11745
@OFF:0x2972
@SPK:
@JPN:　横たわる彼女を裏返す。
@ENG:

@IDX:11746
@OFF:0x2998
@SPK:
@JPN:　濡れた背中が、照明を照り返して光る。
@ENG:

@IDX:11747
@OFF:0x2a6c
@SPK:
@JPN:　俺の手はデッキブラシを握り締め、彼女の白い背中　を擦り始めた。
@ENG:

@IDX:11748
@OFF:0x2aba
@SPK:
@JPN:　物言わぬ彼女は何の不満の声もあげない。
@ENG:

@IDX:11749
@OFF:0x2af0
@SPK:
@JPN:　だからこそ俺が気遣ってやらねばならない。
@ENG:

@IDX:11750
@OFF:0x2b38
@SPK:
@JPN:　背中を擦り、脇の下を洗い、尻の谷間を押し広げて　洗う。
@ENG:

@IDX:11751
@OFF:0x2b7e
@SPK:
@JPN:　次々に彼女からホルマリンを落としていく。
@ENG:

@IDX:11752
@OFF:0x2bb6
@SPK:
@JPN:　彼女を次の姿にするために。
@ENG:

@IDX:11753
@OFF:0x2be0
@SPK:
@JPN:　死体から教材にするために。
@ENG:

@IDX:11754
@OFF:0x2ce1
@SPK:
@JPN:　終わった。
@ENG:

@IDX:11755
@OFF:0x2cfb
@SPK:
@JPN:　俺と彼女の一期一会はこれで終わりだ。
@ENG:

@IDX:11756
@OFF:0x2d2f
@SPK:
@JPN:　上からあいつが降りてきて、俺をこの部屋から押し　出す。
@ENG:

@IDX:11757
@OFF:0x2d75
@SPK:
@JPN:　それで終わりだ。
@ENG:

@IDX:11759
@OFF:0x2ea2
@SPK:［鏑木］
@JPN:　オーケーだ。きれいに洗えている。もう行っていいぞ。
@ENG:

@IDX:11760
@OFF:0x2f08
@SPK:
@JPN:　次は彼の出番だ。
@ENG:

@IDX:11761
@OFF:0x2f28
@SPK:
@JPN:　俺から彼女の身柄を受け取り、そして次のステージ　へと連れて行く。
@ENG:

@IDX:11762
@OFF:0x2f78
@SPK:
@JPN:　ひんやりとした部屋の空気が俺の心を鎮める。
@ENG:

@IDX:11763
@OFF:0x307f
@SPK:
@JPN:　再びこの部屋へと戻ってきた俺の下に、再び彼女が　やってくる。
@ENG:

@IDX:11764
@OFF:0x30cb
@SPK:
@JPN:　氷の女神の祝福を受けているかのように、その面を　微動だにさせない女。
@ENG:

@IDX:11767
@OFF:0x315b
@SPK:[\protag]
@JPN:　どうぞ。
@ENG:

@IDX:11769
@OFF:0x31a8
@SPK:［悠紀］
@JPN:　失礼します。
@ENG:

@IDX:11770
@OFF:0x325e
@SPK:
@JPN:　朝と同じやり取りが再び繰り返される。
@ENG:

@IDX:11771
@OFF:0x3292
@SPK:
@JPN:　部屋の空気の微かな動きで、彼女が入ってきたこと　を知る。
@ENG:

@IDX:11772
@OFF:0x32da
@SPK:
@JPN:　うっすらと、彼女の体臭が部屋の空気に混じる。
@ENG:

@IDX:11773
@OFF:0x3316
@SPK:
@JPN:　決して不快ではない。
@ENG:

@IDX:11774
@OFF:0x333a
@SPK:
@JPN:　柔らかい薔薇のような香り。
@ENG:

@IDX:11775
@OFF:0x3364
@SPK:
@JPN:　人工的でないその香りは、おそらく彼女が先天的に　具えている香りなのだろう。
@ENG:

@IDX:11777
@OFF:0x3407
@SPK:［悠紀］
@JPN:　これ、お願いします。
@ENG:

@IDX:11778
@OFF:0x3451
@SPK:
@JPN:　言葉少なに、俺に一枚の紙切れを差し出す。
@ENG:

@IDX:11779
@OFF:0x3489
@SPK:
@JPN:　報告書。
@ENG:

@IDX:11780
@OFF:0x34a1
@SPK:
@JPN:　俺が作業の後に記さなければならない一枚の書類。　
@ENG:

@IDX:11781
@OFF:0x34f3
@SPK:
@JPN:　さっとサインして、彼女に戻す。
@ENG:

@IDX:11782
@OFF:0x3521
@SPK:
@JPN:　書類に目を通し、何もなかったことを確認すると、　ニコリともせずご苦労様といって部屋を出て行く。　
@ENG:

@IDX:11783
@OFF:0x35cb
@SPK:
@JPN:　相変わらず愛嬌のない女だ。
@ENG:

@IDX:11784
@OFF:0x35f5
@SPK:
@JPN:　いつか俺に微笑みかけることがあるのだろうか？
@ENG:

@IDX:11785
@OFF:0x36e7
@SPK:
@JPN:　ザーッという音とともに、熱いお湯が俺の身体の上　を流れ落ちていく。
@ENG:

@IDX:11786
@OFF:0x3739
@SPK:
@JPN:　仕事の後のシャワー。
@ENG:

@IDX:11787
@OFF:0x375d
@SPK:
@JPN:　凝り固まった筋肉をほぐし、俺の中に沈殿している　疲労を押し流してくれる。
@ENG:

@IDX:11788
@OFF:0x37b5
@SPK:
@JPN:　髪を指で梳いて、湯に晒す。
@ENG:

@IDX:11789
@OFF:0x37df
@SPK:
@JPN:　頭の中まで熱が浸透して、俺の中に入り込んだ死の　空気を押し出してくれるように感じる。
@ENG:

@IDX:11790
@OFF:0x38f8
@SPK:
@JPN:　バスタオルで、身体を拭う。
@ENG:

@IDX:11791
@OFF:0x3922
@SPK:
@JPN:　ひんやりとした空気が火照った身体に心地よい。
@ENG:

@IDX:11792
@OFF:0x395e
@SPK:
@JPN:　冷たい壁に寄りかかり、○ボロを咥える。
@ENG:

@IDX:11793
@OFF:0x3994
@SPK:
@JPN:　路地裏のキャバレーのマッチで火をつけ、深く吸い　込む。
@ENG:

@IDX:11794
@OFF:0x39da
@SPK:
@JPN:　肺を満たす紫煙。
@ENG:

@IDX:11795
@OFF:0x39fa
@SPK:
@JPN:　命を削る、命の活力。
@ENG:

@IDX:11796
@OFF:0x3a2e
@SPK:
@JPN:　カランと音を立てて、グラスの氷塊が回る。
@ENG:

@IDX:11797
@OFF:0x3a66
@SPK:
@JPN:　琥珀色の液体で、喉を潤す。
@ENG:

@IDX:11798
@OFF:0x3a90
@SPK:
@JPN:　生きていることの喜びを感じる。
@ENG:

@IDX:11799
@OFF:0x3abe
@SPK:
@JPN:　酒と煙草……人生の伴侶。
@ENG:

@IDX:11800
@OFF:0x3af6
@SPK:
@JPN:　部屋に広がる紫煙が、俺の意識を白くする。
@ENG:

@IDX:11801
@OFF:0x3b2e
@SPK:
@JPN:　今日も仕事が終わった。
@ENG:

@IDX:11802
@OFF:0x3b54
@SPK:
@JPN:　俺の仕事。
@ENG:

@IDX:11803
@OFF:0x3b6e
@SPK:
@JPN:　『死体洗い』が……。
@ENG:

@IDX:11804
@OFF:0x3bd5
@SPK:
@JPN:　かなり無理があったかもしれない。
@ENG:

@IDX:11805
@OFF:0x3c05
@SPK:
@JPN:　俺の胸に残ったのは強い悔恨の念だった。
@ENG:

@IDX:11806
@OFF:0x3c3b
@SPK:
@JPN:　どうせなら、もっと弾ければ良かった……。
@ENG:

@IDX:11807
@OFF:0x3c73
@SPK:
@JPN:　次こそは必ず……。
@ENG:

@IDX:11809
@OFF:0x3d3a
@SPK:　　　　　肢体を洗う・おまけシナリオ
@JPN:　　　　エンド５　『酒と煙草と死体洗い』
@ENG:

@IDX:11810
@OFF:0x3e13
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:11811
@OFF:0x3e45
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11812
@OFF:0x3e73
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:11813
@OFF:0x3efd
@SPK:
@JPN:　目覚めると、潰れた蚊帳の下にいた。
@ENG:

@IDX:11814
@OFF:0x3f2f
@SPK:
@JPN:　部屋の中に紫煙がたゆたっている。
@ENG:

@IDX:11815
@OFF:0x3f5f
@SPK:
@JPN:　なんだ？　これ？
@ENG:

@IDX:11816
@OFF:0x3f91
@SPK:
@JPN:　くんくん。
@ENG:

@IDX:11817
@OFF:0x3fab
@SPK:
@JPN:　ああ、蚊取り線香か。
@ENG:

@IDX:11818
@OFF:0x3fe1
@SPK:
@JPN:　事務局で借りた蚊帳を畳んで、脇に片づける。
@ENG:

@IDX:11819
@OFF:0x401b
@SPK:
@JPN:　さて、もうあまり時間がない。
@ENG:

@IDX:11820
@OFF:0x4047
@SPK:
@JPN:　さっさとバイトに行こう。
@ENG:

